新製品インキュベーター
コーポレートR&Dの製品群は、アルケマの研究開発部門が保有するシーズ技術をベースとした先端材料製品です。リビングラジカル法を用いた精密重合技術、ナノレベルでのモルフォロジー制御技術、カーボンナノチューブの大量合成技術、スーパーエンジニアリングプラスチックの結晶性コントロール技術、圧電ポリマーを用いた有機エレクトロニクス技術を基に、ユニークな製品を数多く展開しています。日本およびアジアのエクセレントパートナーや有力大学と緊密に連携することにより、自動車やエレクトロニクスなどの分野で積極的な用途開発を展開しています。
Piezotech® ピエゾテック
Piezotech® は、PVDF (フッ化ビニリデン) 系強誘電性 (Ferroelectricity) 樹脂材料です。
強誘電性を示し、焦電性 (Pyroelectric) 及び圧電性 (Piezoelectricity) も発現します。そのため圧力、振動、音響、温度、赤外線の各種センサとして使用可能です。また、アクチュエータ、フィルムスピーカー、強誘電性メモリ、マイクロマシン駆動部、ハプティクス (Haptics) 等の用途にも応用可能で、アイデア次第で用途拡大及びオリジナリティを高めた応用製品の開発が見込めます。
多くの強誘電性材料はセラミックですが、Piezotech®は樹脂材料であるため、その加工性、柔軟性においてプリンテッド・エレクトロニクス、ウエアラブルエレクトロニクスとの相性が良い材料です。
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FCシリーズ:分極作業を行うことで大きな残留分極を持ち、共有電性を示しセンサーに向いたグレードです
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RTシリーズ:分極不要で印可電圧に応じて変位を生じる為、アクチュエータに向いたグレードです
Apolhya® アポリヤ
Apolhya® とは、ポリオレフィンにポリアミドがグラフトされた熱可塑性樹脂です。
独自のグラフト設計技術により、樹脂内部ではナノレベルで2種類の樹脂が共存しているため、まったく異なる二種類の樹脂の性質を併せ持つ新しい樹脂です。
特徴:
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ポリオレフィンの柔軟性 (弾性率35~500MPa)
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ポリアミドの耐熱性 (融点130~216度)
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耐熱老化性 (150度 引張伸び率半減時間>2000hrs)
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接着性 (vs PO, PA, TPU, PET, Alなど)
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透明グレード (LCシリーズ)
用途:
- 樹脂改質剤 (PE, PP, PA, PPSなど)
- フィルム、チューブ内外層
- 接着層 (PO/PA/TPU/PET など)
- 電線被覆材(難燃グレードあり)
Flexibloc® フレキシブロック
ラジカル活性リビングポリマー
Flexibloc® は、末端にラジカル活性基を有する単分散のポリアクリル酸ブチル(PBA)です。Flexiblocをポリマー開始剤として重合に使用することにより、手軽に幅広いタイプのブロックコポリマーを設計することが出来ます。
特徴:
- Flexibloc® は常温で安定な液状ポリマー
- 汎用のラジカル重合プロセスでの使用が可能 (バルク、溶液、懸濁重合プロセス)
- 広いモノマー選択肢 (アクリル系、メタクリル系、スチレン系)
Nanostrength® ナノストレングス
ラジカル制御重合(CRP)アクリル系ブロックコポリマー
Nanostrength® (ナノストレングス) は、ソフト成分のポリブチルアクリレート (PBA) をセンターブロック、ハード成分のポリメチルメタクリレート (PMMA) をサイドブロックとするABA構造のアクリルブロック共重合体です。ナノレベルのゴム成分を導入することができる新しいコンセプトのじん性改質材としてその用途が広がっています。
特徴:
- アルケマ独自のラジカル制御重合技術によるブロックコポリマー
- 幅広いグレード展開 (ソフト/ハード組成、分子量)
- 高極性基や酸基などの変性グレード
- 金属およびハロゲン元素非含有
- エポキシ、アクリルモノマーや各種溶媒に容易に溶解
- 高耐候性
ブロック構造がもたらす効果
硬化性樹脂の改質 (エポキシ、アクリル)
- 硬化物中にナノレベルのソフトドメインを導入
- すぐれた靭性付与、耐熱性維持
熱可塑性樹脂の改質
- 熱可塑性樹脂の改質
耐衝撃性や伸びの向上 - 透明性維持
耐薬品性の向上
高流動性
使用例:
- エポキシ、アクリル樹脂の耐衝撃改質材 (構造材料、塗料、接着剤、フィルム、電子材料用途等)
- アクリル樹脂の改質材(透明)
- 押出・射出成形品